放射線科専門医試験 受験レポート|何をどれだけ勉強したか

2026-08-24 ・ 放射線科
放射線科専門医試験を受験した記録。105題・150分の試験構成、過去問5年+レジデントセミナーで6〜7割という目安、分野別の得点しやすさ、使用教材とAIの使い分け、当日の流れまで。
この記事は次のガイドの一部です 専門医試験の勉強法【完全ガイド】

放射線科専門医試験を受験したので、実体験としてどれくらい勉強すればよいか、どこから手をつければよいかを中心にレポートとして残します。勉強の参考にしていただければと思います。

本記事は受験者本人による記録です。試験の運営方針や日程は年度で変わります。制度・日程の最新情報は日本医学放射線学会の公式発表でご確認ください。

試験概要

  • 受験時期:8月中旬の金曜日
  • 出題数・時間:105題・150分
  • 受付:8:45〜9:45、試験時間:10:00〜12:30
  • 不合格ライン:下位10%前後(受験者間で言われている水準であり、公表された基準ではありません)

結論:何をどれだけやれば届くか

  • 過去問5年
  • レジデントセミナー

この2つで、合格ラインの6〜7割には到達できると思います。今年の問題もざっと見た感じ、105題中60題前後は過去問だけでも解ける印象でした。ここにレジデントセミナー(試験半年前の冬頃に開催される専門医試験対策講習)と、選択肢の周辺知識を足しておけば合格は固いはずです。

スケジュール

ゴールデンウィークまでには始めている人が多いという話です。私自身は子どもがいるという事情から、本格的な対策は3月から約6か月かけました。土日に時間を確保できる方なら、5月開始でも問題ないと思います。

ざっくり計算するとこうなります。

項目目安
レジデントセミナー動画約30時間
過去問5年(105問×5年×10分)約90時間
余白を持たせた合計約200時間

週15時間で間に合う計算です。

実際の学習の回し方

基本は次の2パターンで回し、最終的に20年分の過去問を解きました。

  1. レジデントセミナー視聴 → ノートアプリにまとめる → 過去問を解く → ノートアプリにまとめる
  2. 過去問を解く → ノートアプリにまとめる

得点源になりそうな核医学と放射線物理はパターン1、それ以外は過去問から入るパターン2で進めました。過去問演習では、その都度AIや講義資料を参照して復習しています。

過去問は年度単位で解くよりも、①分野別に ②古い問題から解くほうが本番に近い負荷がかかると思います。私は自分で分野別に仕分けようと考えていましたが、知人が分野別の仕分けとクエスチョンバンク形式のツールを作ってくれたので、それを使わせてもらいました。おそらくAIを活用すれば作成可能です。

ポイントとして、出題は5択の選択肢形式で、画像そのものは出題されません。正直なところ、キーワードさえ押さえていれば画像を具体的にイメージできなくても解ける問題がほとんどです。

2週間前くらいからは、暗記分野の知識が新鮮な状態で本番を迎えられるよう、診断→治療→核医学→5年分というペースを意識して復習しました。当日は、並行して作っておいたチェック用のまとめを確認してから臨みました。

使用した教材

  • Keybookシリーズ:分野ごとの知識整理に活用。出題者もこれらの本をベースに作問している印象があります
  • ジェネラリストを目指す人のための 画像診断パワフルガイド:著者の山下康行先生がKeybookを何冊か書かれているので、内容が似ていてコンパクトにまとまっています。試験に出やすいキーワードが網羅されている印象で、特におすすめです
  • 画像診断の増刊号:「〜〜の所見がみられる疾患」といった形で鑑別疾患が整理されているものが多く、該当ページを探して参照するのも有効でした
  • IMAIOS e-Anatomy:有料ですが、解剖はよく出題されるため場所の確認に重宝しました
  • JRS公式の過去教育講演の動画:動画派の方にはこちらもおすすめです(例:教育講演21 治療1 放射線生物学)
書籍は 放射線科専門医試験の定番教材 にまとめています。

AIツールの活用

問題を解くことと親和性が高く、知識の確認や整理にかなり有用です。ノートアプリ(Notion)と連携させることで、追記・修正・参照が一続きになり、知識の積み上げとして時間短縮になりました。

一方で正確性に欠ける場合や、真偽の判定ができない場合もあります。自信のない分野については、複数のAIを使うか、教科書やレジュメも必ず参照することをおすすめします。

使い分け

1. NotebookLMにレジュメを読み込ませる

レジデントセミナーのレジュメをソースとして解答を作らせると、講習内容から逸脱しない解答が得られます。精度は高いのですが、仕様上レスポンスが遅い難点があります。

なお、学会が配布したレジュメをAIサービスに読み込ませる行為は、資料の利用条件によっては問題になる可能性があります。 配布時の注意書きを確認したうえで、各自の判断でお願いします。

2. 汎用AIに解答を作らせる

総合的には Claude > Gemini > Copilot > ChatGPT の順で有用という印象でした。好みにもよりますが、Claudeはテキストファイルやアプリと連携できる点が便利で、過去にまとめた内容を参照しながら解答を生成し、必要に応じて追記していく使い方ができます。知識の正確性、ソース検索能力、表やレイアウトの見やすさ、クイズ形式・フラッシュカード形式での問題作成など、できることの幅も広いです。

デメリットは、レスポンスがやや遅いことと、使用量が多い場合は課金が必要な点です。

分野別の対策

試験は大きく「診断」「治療」「核医学」「放射線物理」「その他」に分かれます。過去問から出やすく、質問形式が1対1対応の分野ほど得点しやすい=得点すべき分野になります。

得点しやすさの体感:放射線物理 > 治療 > 核医学 > その他 > 診断

診断分野は過去に扱いのない疾患や選択肢が出る頻度が高く、過去問だけで全部を解くのは厳しいです。一方、放射線物理や放射線治療は理論が確立していたりガイドラインに沿った出題になるため、過去問と似た問題が出やすい傾向があります。核医学も比較的取りやすいですが、新しい検査や治療のトレンドを含め細かい周辺知識が問われることもあり、治療よりは得点率が下がる印象です。その他の分野は個人情報や病院システムなどで、特殊な問題が多いものの文章を読むだけで解けることも多く、新出問題は他の受験者も解けないため合否にはあまり影響しないと思われます。

診断

新問が多く出題される臓器と、プール問題(過去問の類題)が出やすい臓器に分かれます。専門医機構の問題になってから年々難化しており、過去問演習だけでは対応しきれない問題も増えている印象です。特に出題数の多い中枢神経・消化器はこの傾向が強く、余裕があれば関連疾患を広めに勉強しておくとよいと思います。

一方、★印の分野は比較的過去問から出やすいため、得点源として押さえる必要があります。特に胸部は★かつ出題数も多く、ここを取れると全体に大きく響きます。

  • 中枢神経:脳神経の走行、脳腫瘍の好発部位、神経皮膚症候群、NMOSD・MS・MOGAD、Chiari奇形
  • 頭頸部:上咽頭癌のTNM分類、耳下腺腫瘍、鼻腔腫瘍
  • 整形 ★:骨腫瘍の好発部位と特徴、前十字靭帯損傷、骨盤裂離骨折、骨代謝性疾患
  • 胸部 ★:肺癌のTNM分類、びまん性疾患の分布、各種サイン
  • 循環器:冠動脈CT、心臓MRI(ECV、LGE、T1 mapping)、血管炎、動脈瘤 vs 解離、肺高血圧(ほぼCTEPH)
  • 乳腺 ★:マンモグラフィ、エコー所見、乳腺腫瘍(DCIS、葉状腫瘍・線維腺腫・粘液癌、小葉癌)
  • 小児 ★:小児腫瘍、虐待、新生児の呼吸障害(MAS、TTN、RDS)、若木骨折、各種サイン
  • 消化器:肝腫瘍、胆管炎、胆膵の発生異常、各種サイン、解剖、膵嚢胞性腫瘤
  • 腎・泌尿器:Bosniak分類、腎腫瘍、副腎腫瘍、発生異常、嚢胞腎
  • 産婦人科:子宮頸癌のFIGO分類、卵巣腫瘍、解剖、月経周期による画像変化、ナボット嚢胞、LEGH、子宮筋腫、捻転、各種マーカー
  • IVR:デバイスのサイズ、塞栓物質の使い分け、エンドリーク、CVポート、肺生検、TACE、凍結療法、UAE、喀血

放射線物理

理論分野で例年大きな変化がないため、確実に押さえて得点源にしたい分野です。被ばくは種類が多く名称も似ているので混同しやすい点に注意してください。線量は覚えるしかありませんが、しきい値が低いものや早期に症状が出やすいものが出題の中心です。

  • 放射線の種類・単位、壊変、LET、X線と物質の相互作用、計測、遮蔽
  • LQモデル、α/β比、4R、細胞周期と放射線感受性
  • しきい値、TD5/5、急性期・晩期有害事象、急性放射線障害、胎児への影響、線量限度、被ばくの種類

核医学

核種と検査がほぼ1対1対応で出題されるため、比較的取り組みやすい分野です。一方でトレンドの領域からの出題もあり、実臨床に即した内容が多いため対策しきれない可能性がある点は留意してください。

  • 核種と検査の対応、半減期、放出する放射線、撮像タイミング、前処置、負荷薬剤
  • 投与経路、排泄経路
  • 深めに理解しておくべきテーマ:脳血流、心筋血流、腎シンチ、PET、腫瘍シンチ
  • RI内用療法
  • 比較的新しく保険適用・カリキュラムに追加されたテーマ(ゾーフィゴ、ルタテラ、プレヴィクト、アミロイドPET、アミノ酸PETなど)

治療

勉強を始める前は、照射の種類・線量・照射範囲・適応・併用薬剤がまったくわからず、とっつきにくい分野でした。しかし本番ではガイドラインに沿った照射が基本となるため、明確な解答が存在する問題が多く、実は得点しやすい分野だと感じました。

対策の順序としては、まず放射線物理・生物学の基礎を押さえ、過去問を解き、各論を一つずつ潰し、最後に総論として横断的に整理する流れがおすすめです。

  • 総論:照射法、照射範囲、線量、放射線治療単独の適応疾患、定位放射線治療の適応疾患、エネルギー、良性疾患への適応
  • 各論:肺癌、子宮頸癌、前立腺癌、直腸癌、肛門管癌、リンパ腫、上咽頭癌など。基本となる治療方針、TNM・FIGO・リスク分類ごとの治療方針、放射線治療の適応、化学療法の種類とタイミング、CTV、領域リンパ節

線量は 20〜30Gy、40〜60Gy、60〜80Gy とざっくり分けると覚えやすいです。根治照射は基本60〜80Gy、術前・術後や感受性の高い腫瘍などの理由で40〜60Gyになる、と理屈で整理すると記憶に定着しました。

その他

比較的新しいタイプの問題で、プール問題も少なく傾向と対策はあまりできません。レジデントセミナーのレジュメで十分だと思います。

試験当日のこと

東京と神戸の各会場を隔年で使用しているようです。今年は神戸で、午前中からの試験だったため、前日から会場であるポートピアホテルに宿泊しました。ホテル内にはコンビニがあり、ルームサービスも利用できます。近くの三宮駅周辺に宿泊している人も多く見受けられました。

当日は8:45〜9:45が受付、試験は10:00〜12:30(105題・150分)で、11:00以降は途中退室が可能です。前泊する場合は、移動時間や当日の朝の過ごし方も含めて余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です。

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放射線科専門医試験の過去問の入手先と定番教材は 放射線科専門医試験の対策 にまとめています。勉強の進め方の全体像は 専門医試験の勉強法【完全ガイド】 をご覧ください。

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