専門医試験に落ちたら。次の1年をどう組み立てるか
専門医試験に落ちた。その事実を受け止めるのに、しばらく時間がかかると思います。
まず前提として、不合格は珍しいことではありません。 合格率が公表されている領域を見ても、脳神経外科は約70%、病理は80.2%(2025年度)、放射線科は91.3%(令和8年度)です。1割から3割は不合格になります。
この記事は、次にどう動くかを整理するためのものです。精神論は書きません。
まず確認すること(感情の整理より先に、期限があります)
不合格が分かったら、先に手続きの期限を確認してください。 落ち込んでいるうちに、次年度の申請期間が過ぎることがあります。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 次年度の申請受付期間 | 領域によって年明け〜春に集中し、期間は1〜2か月しかない |
| 受験資格の有効期限 | 研修修了からの年数に制限がある場合がある |
| 講習会の受講要件 | 期限内に受け直しが必要なことがある |
| 症例レポート・実績の再提出 | 書類審査が別途必要な領域がある |
たとえば救急科では、旧制度で第二次審査に合格した方の筆記試験受験は2026・2027・2028年の3年間に限られ、毎年1〜2月に別途申請が必要と案内されています。制度の移行期は特に、期限を外すと受験機会そのものを失います。
自分の領域の要件は 試験ごとのページ から確認してください。
「何点足りなかったか」はたいてい分からない
多くの領域で、不合格者に対して詳細な得点開示は行われません。ここでつまずく人が多いのですが、点数が分からないことを前提に、次の対策を組み立てるしかありません。
分からないものを推測しても仕方がないので、代わりに次の3つを確認します。
1. 手をつけていない分野がなかったか
範囲の広い試験ほど、「時間がなくて最後まで行かなかった分野」が失点源になります。1周も終わっていない分野があったなら、そこが最優先です。
2. 基本問題を落としていなかったか
多くの領域の専門医試験は相対評価です。誰も解けない問題では差がつきません。周囲が正解している問題を落としていないかが、実質的な合否の分かれ目です。
奇問が解けなかったことを反省しても、翌年の点数は上がりません。
専門医試験は「奇問」で落ちない。基本問題の取りこぼしで落ちる
3. 「読んだ」で終わっていなかったか
教科書を読んだ量と、試験で引き出せる量は別です。読んだのに解けなかったのであれば、勉強法そのものを変える必要があります。
読むだけでは覚えられない。「思い出す練習」が効く理由
2年目は1年目と同じやり方をしない
同じ教材を同じ順番でもう一度回すのが、最もありがちで、最も避けたい選択です。1年目に落ちたやり方をなぞっても、結果は変わりにくいためです。
変えるべき点は主に3つあります。
着手時期を早める。 1年目に「もっと早く始めればよかった」と感じたなら、それが最大の改善点です。2年目は日常業務の負荷を織り込んだうえで、早い時期から短時間で回す形に切り替えます。
間違えた問題を残す。 1年目の誤答が記録として残っていれば、2年目はそこから始められます。残っていなければ、今年こそ記録を残す仕組みを作ってください。直前期にやるべきことが、それだけで決まります。
復習の管理を自分でやらない。 忘れかけたタイミングを感覚で判断するのは無理です。間隔を決めて機械的に回す形にします。
忘却曲線を味方につける。復習は「思い出せるギリギリ」で
1年あることを、不利ではなく前提として扱う
不合格の直後は「また1年」と感じます。ただ、直前の数か月で詰め込んだ1年目と、12か月使える2年目では、条件がまったく違います。
1年目は範囲を一周することに追われた方が多いはずです。2年目は一周した状態から始められます。同じ分野でも、二度目は理解の速度が違います。
現実的な組み立てとしては、次のようになります。
- 秋〜冬:手つかずだった分野を潰す
- 冬〜春:全体を一周し直し、誤答を記録する
- 春〜夏:誤答と苦手分野を繰り返す
- 直前1か月:新しい教材に手を出さず、記録した誤答だけを回す
直前1か月の詰め方。新しい教材に手を出さない
資格の有無で医師の価値は決まりません
最後に一つだけ。
専門医資格を持っているかどうかで、医師としての力量が決まるわけではありません。日々の診療でしっかり結果を出していても、試験というひとつの形式では測りきれないことがあります。
ただ、制度上その資格が必要な場面があるのも事実です。だから受け直す。それだけのことだと考えてください。
同じ年に落ちた人は、あなただけではありません。合格率が公表されている領域の数字を見れば、毎年一定数が同じ状況にいます。
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限られた時間で専門医試験を通過するための考え方と回し方。基本問題の優先、想起練習、忘却曲線に沿った復習、スキマ時間の設計、直前1か月の詰め方までまとめました。
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